防犯カメラ

防犯カメラの Wi-Fi が途切れる原因と対策。店舗で確認する順番と有線化の判断

(2026年09月25日 更新) 株式会社オーグマー

明るい店舗の天井に付いた白いドーム型の防犯カメラと、手前の棚の上に置かれたアンテナ付きの無線 LAN ルーター

Wi-Fi でつなぐ防犯カメラがときどき途切れる・「オフライン」と表示されるときは、原因の多くが電波の届き方とルーター側の事情のどちらかにあります。

原因を絞るいちばんの手がかりは、「いつ途切れるか」です。途切れる時間帯に決まりがあるかどうかで、確認する場所が変わります。

それでも安定しない場所は、Wi-Fi にこだわらず有線(LAN ケーブル)に切り替えるのが確実です。この記事では、確認する順番と、有線化を判断する基準を、ネットワーク工事の立場からまとめます。

途切れ方で原因の見当をつける

まず、カメラのアプリや録画の記録で、途切れた日時を確かめます。録画に空白がある日時を記録し、同じ時刻のカメラの接続履歴と、録画機・保存先(HDD や SD カード)の状態をあわせて確かめます。録画の空白は、接続の途切れだけでなく、録画機の負荷や保存先の不具合でも起きるためです。

途切れ方疑う原因
営業中・人が多い時間だけ途切れる電波の混雑(お客様のスマホ、店舗の他の機器)、人の体による電波の弱まり
毎日ほぼ同じ時刻に途切れるルーターの自動再起動・自動更新、電子レンジなど決まった時間に使う機器
特定のカメラだけ途切れるそのカメラまでの距離・障害物、カメラ本体や電源
すべてのカメラが同時に途切れるルーター本体、インターネット回線、停電・電源タップ
ルーター交換・回線工事のあとから途切れるWi-Fi の名前(SSID)・パスワード・割り当てられる番号(IP アドレス)の変化

すべてのカメラが同時に途切れる場合は、カメラ 1 台ずつではなく、共通の部分を疑います。ルーター・回線に加え、録画機、共通の電源、保存先も確認します。スマホやパソコンも同じ時間にインターネットにつながらなくなっていないかを確かめてください。

外からスマホで見られないだけで、店舗の中では映っている場合は、Wi-Fi ではなく遠隔確認の設定に原因があることが多いです。その場合は防犯カメラがスマホで見られない原因の確認の順番が役に立ちます。

原因 1:カメラの場所まで電波が十分に届いていない

Wi-Fi の電波は、距離が離れるほど、また障害物を通るほど弱くなります。特に次のものは電波を大きく弱めます。

  • 鉄筋コンクリートの壁・床、金属の扉やシャッター
  • 金属製の棚・冷蔵ケース・業務用の厨房機器
  • 熱を遮るフィルムや特殊なガラス(金属の膜を含むものは電波を通しにくい)
  • 屋外カメラの場合、建物の外壁そのもの
手前のカウンターに無線 LAN ルーター、奥の離れた天井近くにドーム型カメラがあり、間に背の高い商品棚が並ぶ店内

確かめ方として手軽なのは、カメラのすぐ下でスマホを同じ Wi-Fi につなぎ、電波の強さ(扇形のマーク)と動画の読み込みの速さを見ることです。スマホでも電波が 1〜2 本しか立たない場所では、カメラも不安定になりやすいと考えられます。ただしスマホとカメラでは電波の受け方が違うため、スマホの表示は目安にとどめます。

カメラの設定画面やアプリに電波の強さの表示や接続の履歴がある機種なら、そちらも確認します。

原因 2:店舗の電波が混み合っている

Wi-Fi 対応の防犯カメラには、2.4GHz(ギガヘルツ)帯という種類の電波だけに対応している機種が多くあります。2.4GHz 帯は障害物に比較的強い一方で(出典:バッファロー「Wi-Fi ルーターの周波数帯の違いについて」)、次のような機器と同じ電波の帯を使うため、混み合いやすいのが弱点です。

  • 電子レンジ(使っている間、近くの 2.4GHz 帯の通信が不安定になることがある)
  • Bluetooth の機器(ワイヤレスのイヤホン、ハンディ端末など)
  • 周りの店舗・オフィス・住戸の Wi-Fi

店舗では、これに加えて営業中にお客様のスマホが増える、お客様向けの無料 Wi-Fi・レジ・決済端末・予約用のタブレットが同じルーターにつながっているといった事情が重なります。「閉店後は安定しているのに、営業中だけ途切れる」場合は、この混雑を疑います。

ルーターの設定で見直すこと

  • Wi-Fi のチャンネル:周りの Wi-Fi と同じチャンネルが混み合っていると、つながりにくくなります。ルーターの自動選択のままで改善しない場合は、空いているチャンネルに固定する方法があります
  • 2.4GHz と 5GHz が同じ名前(SSID)になっている:ルーターによっては 2 つの電波を 1 つの名前にまとめています。カメラの初期設定でつながらない、つながっても不安定なときは、2.4GHz 専用の名前を分けて用意すると安定することがあります
  • お客様向け Wi-Fi と分ける:カメラと店舗の業務用の機器は、お客様向けの Wi-Fi とはルーターのゲストネットワーク機能などで、別のネットワークに分けます。Wi-Fi の名前を変えるだけでは分けたことにならない点に注意してください
  • 暗号化の方式:総務省は、Wi-Fi の暗号化の方式に WPA2 か WPA3 を選ぶよう案内しています(出典:総務省「無線 LAN(Wi-Fi)の安全な利用(セキュリティ確保)について」)
  • 初期のパスワードのまま使わない:カメラやルーターを初期の ID・パスワードのまま使うと、乗っ取られて悪用されるおそれがあります(出典:NOTICE「みんなで守る、IoT。」(総務省・情報通信研究機構))

原因 3:ルーターの台数・設定・自動再起動

家庭用のルーターは、同時につなげられる機器の台数や処理の能力に限りがあります。店舗の業務用端末、スタッフのスマホ、カメラが増えていくと、ルーターの能力を超えて、一部の機器の接続が切れることがあります。

ほかに、次の設定も途切れの原因になります。

  • 自動再起動・自動更新:夜間などに自動で再起動・更新するルーターがあります。毎日同じ時刻に数分だけ途切れるなら、この設定を確かめます
  • 割り当てられる番号(IP アドレス)が変わる:番号が変わる設定のままだと、ルーターの再起動のあとでカメラの番号が変わり、録画機がカメラを見失って録画が止まることがあります。録画機につなぐカメラは、機器の仕様に合わせて、ルーター側の割り当て予約やカメラ側の固定の設定で番号が変わらないようにします
  • 省電力の設定:ルーターやカメラの省電力機能で、通信の少ない機器の接続を切ってしまう場合があります

原因 4:中継器・メッシュ Wi-Fi でかえって不安定になる

電波が届かない場所へ、中継器(電波を受け取って飛ばし直す機器)やメッシュ Wi-Fi(複数の機器で電波の範囲を広げる仕組み)を置いて対応することがあります。

手軽な方法ですが、防犯カメラのように映像を途切れず送り続ける機器では注意が必要です。

  • 中継器を通ると、通信の速さが落ちることが多い
  • カメラが、より遠い親機と中継器のあいだでつなぎ先を切り替えるたびに途切れることがある
  • 中継器の電源が抜かれる・止まると、その先のカメラがまとめて止まる

中継器を置いても安定しない場合は、無理に電波で届かせるより、その区間だけ LAN ケーブルでつなぐほうが確実です。

原因 5:インターネット回線の上りの速さが足りない

クラウドに常に録画する設定のカメラは、映像をインターネットへ送り続けます(動きを検知したときだけ送る設定もあります)。このとき使うのは、回線の上り(お店からインターネットへ送る方向)の速さです。

Wi-Fi の電波が十分でも、店舗の回線の上りが足りないと、台数を増やしたときや画質を上げたときに途切れるようになります。回線の速さを測るサイトで「アップロード」の数字を、途切れる時間帯に測っておくと原因の切り分けに役立ちます。カメラ 1 台あたりに必要な速さは、機種と画質の設定で変わるため、メーカーの資料で確認してください。

自分でできる確認の順番

  1. 途切れた日時を確認する:時間帯に決まりがあるか、全台か特定の 1 台か
  2. ルーターと回線を確認する:同じ時間にスマホ・パソコンも止まっていないか
  3. カメラの場所の電波を測る:カメラの下でスマホの電波と読み込みの速さを見る
  4. ルーターの設定を確認する:自動再起動の時刻、2.4GHz 専用の名前、お客様向け Wi-Fi との分離
  5. カメラとルーターの位置を見直す:ルーターを棚の中・金属の近く・床置きから、見通しのよい高い場所へ移す
  6. 回線の上りの速さを測る:クラウド録画の場合、途切れる時間帯に測る

ルーターの設定を変える前には、今の設定を画面の写真などで残しておきます。ほかの業務用の機器(レジ・決済端末など)が同じルーターにつながっている場合、設定の変更で止まることがあるため、営業時間外に行うのが安全です。

Wi-Fi のままにするか、有線に切り替えるかの判断

次のどれかに当てはまる場合は、LAN ケーブルでつなぐ有線への切り替えを検討する段階です。

  • 上の確認をしても、週に何度も途切れる
  • カメラの場所が鉄筋コンクリートの壁の向こう・屋外・金属の多い場所にある
  • レジ・金庫・出入口など、録画が抜けると困る場所を映している
  • カメラの台数が増える予定がある
手袋をした手で、天井の点検口からドーム型カメラへ LAN ケーブルをつないでいる様子

有線にすると、電波の混雑や障害物の影響を受けません。さらに、LAN ケーブル 1 本で電気と映像を通す PoE という方式で、PoE 対応のカメラと対応する給電機器を使えば、カメラの近くにコンセントが無くても設置できます。仕組みと配線の注意点はPoE で防犯カメラを設置する仕組みと配線のポイントで解説しています。

一方、賃貸で配線の穴あけができない、短期間だけ設置したいといった場合は、Wi-Fi のまま安定させる方法(ルーターの置き場所の見直し、カメラ用の Wi-Fi の用意)を選ぶこともあります。

工事の現場で確認していること

ネットワーク工事の立場から、Wi-Fi のカメラが不安定な店舗を確認するときは、カメラ本体より先に次の点を見ます。

  • 営業中と閉店後の両方で電波の状況を見る:閉店後の静かな時間だけで確かめると、営業中の混雑に気づけません
  • ルーターにつながっている機器の一覧:お客様向け Wi-Fi、レジ、決済端末、業務用タブレット、カメラが 1 台のルーターに集まっていないか
  • ルーターとカメラの間の壁・天井の中:図面上は近くても、間に鉄骨・防火の壁・金属の配管があると電波は大きく弱まります
  • LAN ケーブルを通せる経路があるか:天井裏・既存の配管・モールで、有線化にどれくらいの工事が要るか

有線化の工事が必要になった場合も、途切れていたカメラだけを有線にする、ルーターの近くのカメラは Wi-Fi のまま残すといった組み合わせで、工事の範囲を抑えられることがあります。

まとめ

  • 原因を絞る手がかりは「いつ・どのカメラが途切れるか」。全台同時ならルーターと回線、特定の 1 台なら電波の届き方を疑う
  • 店舗では営業中の電波の混雑と、1 台のルーターに機器が集まりすぎることが、家庭より起きやすい
  • ルーターの自動再起動、IP アドレスの変化、2.4GHz と 5GHz の名前の共用も、途切れの原因になる
  • 何度も途切れる場所、録画が抜けると困る場所は、有線(PoE)への切り替えが確実

防犯カメラの導入全体で決めることは、店舗・オフィスの防犯カメラ導入ガイドにまとめています。

出典と調査の方法

Wi-Fi の暗号化の方式、周波数帯の特徴、ネットにつながる機器の安全は、2026 年 9 月 25 日に次の公式サイトで確かめました。

途切れる原因と確認の順番は、当社のネットワーク工事の経験からまとめたもので、機器や建物によって変わります。