防犯カメラ

PoE 給電の防犯カメラとは? 仕組み・メリットと配線工事で失敗しないポイント

(2026年09月25日 更新) 株式会社オーグマー

束ねられた青い LAN ケーブルがドーム型の防犯カメラと PoE スイッチにつながっている様子

PoE(Power over Ethernet)は、LAN ケーブル 1 本で、カメラに電気を送りながら映像も受け取る方式です。カメラの近くにコンセントが要らないため、天井や屋外など電源を取りにくい場所に設置しやすくなります。

一方で、PoE にはケーブルの長さ・給電できる電力の上限・機器どうしの規格という決まりがあり、ここを外すと「映らない」「夜だけ落ちる」「台数を増やしたら一部が止まった」といったトラブルになります。

この記事では、PoE の仕組みと、配線工事で失敗しないためのポイントを、ネットワーク工事の現場の立場からまとめます。

PoE 給電の仕組み

PoE では、電気を送る側(給電側)と、電気を受け取る側(受電側)が LAN ケーブルでつながります。

天井のドーム型防犯カメラに、電源の線は無く青い LAN ケーブルが 1 本だけつながっている様子
役割機器の例
給電側PoE 対応のスイッチ(ハブ)、PoE 対応の録画機、PoE インジェクター(1 台分だけ給電する小さな機器)
受電側PoE 対応のネットワークカメラ

防犯カメラの配線は、「カメラ → LAN ケーブル → PoE スイッチ(または録画機) → ルーター」という形が一般的です。

PoE のメリット

  • 電源工事が要らない:カメラごとにコンセントを増設する必要がなく、工事の手間と費用を抑えやすい
  • 配線がすっきりする:電源ケーブルと映像ケーブルの 2 本が 1 本になる
  • まとめて停電対策ができる:給電側の機器に無停電電源装置(UPS)をつなげば、停電時もカメラがしばらく動き続ける
  • 離れた場所から再起動できる:管理機能のある PoE スイッチなら、差し込み口ごとに給電を入れ直して、カメラを遠隔で再起動できる

失敗しないポイント 1:ケーブルの長さは 100 m まで

LAN ケーブルで通信できる長さは、給電側から受電側まで 100 m が基準です。天井裏を回り込むと、図面上の直線距離より大幅に長くなります。

  • 100 m を超える場所は、途中に PoE スイッチを置く、延長用の機器を使う、光ケーブルに切り替えるなどで対応します
  • 長さぎりぎりの配線は、夏場の高温などで不安定になることがあります。余裕を持った配線経路を設計します

失敗しないポイント 2:給電の上限(PoE の予算)を超えない

PoE スイッチには、1 つの差し込み口あたりの上限と、スイッチ全体で送れる電力の合計があります。

規格1 口あたりの給電(給電側)主な使い道
PoE(IEEE 802.3af)最大 15.4 W一般的な屋内カメラ
PoE+(IEEE 802.3at)最大 30 W赤外線照明・ヒーター付きの屋外カメラ、首振りカメラ
PoE++(IEEE 802.3bt)最大 60 W または 90 W大型の首振りカメラなど
  • 屋外カメラは、夜に赤外線照明が点く・冬にヒーターが動くと消費電力が増えます。昼間は動いていたのに夜だけ落ちる場合は、給電不足が疑われます
  • スイッチ全体の合計を超えると、機種や設定によっては、後から差したカメラや優先度の低い差込口から電気が届かなくなります。カメラを増設するときは、合計の余力を必ず確認します

失敗しないポイント 3:ケーブルと施工の品質

手袋をした手元で、LAN ケーブルの先端のコネクタと圧着工具を持ち、緑のランプが点いたケーブルテスターで確かめている様子
  • ケーブルの種類:カテゴリ 5e 以上、できればカテゴリ 6 を使います。屋外や地中には、屋外用のケーブルを使います
  • 端子の加工:LAN ケーブルの先端(コネクタ)の加工が甘いと、通信はできても給電が不安定になることがあります。施工後に通信と給電の両方を確認します
  • 屋外の防水と雷対策:屋外の接続部は防水処理をし、建物の外から引き込む配線には雷対策の機器を検討します
  • 電源線と平行に長く這わせない:強い電気の線と近づけすぎると、映像が乱れる原因になります

失敗しないポイント 4:機器の組み合わせを確かめる

  • カメラと給電側の規格をそろえる:PoE+ が必要なカメラを、PoE(802.3af)までのスイッチにつなぐと、起動しないか一部の機能が止まります
  • 「PoE 対応」の表記に注意:国際規格ではない独自方式の給電もあります。規格名(IEEE 802.3af/at/bt)で確認します
  • 録画機の PoE 口の数と電力:PoE 対応の録画機は差し込み口の数と合計電力が決まっています。台数が増える見込みがあれば、別に PoE スイッチを置く構成にしておくと増設しやすくなります

トラブルが起きたときの確認の順番

  1. PoE スイッチ(録画機)の差し込み口のランプが点いているか
  2. 別の差し込み口に差し替えると映るか(差し込み口の故障の切り分け)
  3. 夜だけ・寒い日だけなど、条件つきで落ちていないか(給電不足の疑い)
  4. 最近カメラを増やしていないか(合計の上限の疑い)
  5. それでも直らなければ、ケーブルと端子の点検

スマホで見られないときの切り分けは、防犯カメラがスマホで見られない原因で詳しく解説しています。

まとめ

  • PoE は LAN ケーブル 1 本で給電と通信ができ、電源工事が要らない
  • ケーブルは 100 m まで。天井裏の回り込みを含めて設計する
  • 1 口あたりと合計の給電の上限を、夜間・冬季の消費電力まで含めて計算する
  • 規格名で機器の組み合わせを確認し、施工後は通信と給電の両方を確かめる

PoE の配線は、カメラの設置とネットワーク工事の両方の知識が必要な部分です。カメラとネットワークを同じ担当が設計すると、増設まで見越した構成にできます。

出典と調査の方法

ネットワークにつながるカメラの安全は、2026 年 9 月 25 日に次の公式サイトで確かめました。

PoE の規格(IEEE 802.3af/802.3at/802.3bt)とケーブルの長さの上限は、IEEE(米国電気電子学会)の Ethernet の標準に基づく一般的な値です。台数・配線・設定の考え方は、当社のネットワーク工事の経験からまとめたもので、建物や機器によって変わります。