店舗の LAN 配線工事で決めること。レジ・カメラ・キッチンプリンターの数え方、配線口の位置、開店前の確認

店舗の LAN 配線は、「どこに・何を・何台」つなぐかを先に数えてから工事の範囲を決めると、開店後の「ここにも差し込み口が欲しかった」を減らせます。
- 数える:レジ・決済端末・キッチンプリンター・防犯カメラ・Wi-Fi の機器・電話など、つなぐ機器を置き場所ごとに書き出す
- 決める:ルーターとスイッチ(LAN の分岐の機器)の置き場所と、そこから各機器までの経路・配線口の位置
- 残す:ケーブルの両端に名札を付け、配線の図を店舗に置いておく
この記事では、新しく開く店舗や改装する店舗の LAN 配線で決めることを、ネットワーク工事の会社の立場から順番にまとめます。
(見出しの下の画像は生成したイメージです。実際の店舗や当社の施工の写真ではありません。)
この記事で分かること
- 店舗の LAN 配線の前に、機器を数える方法
- 有線でつなぎたい機器と、Wi-Fi でよい機器の分け方
- 配線口・電源・機器の置き場所の決め方と、開店前の確認
まず、つなぐ機器を置き場所ごとに数える
店舗のネットワークには、思ったより多くの機器がつながります。工事の前に、置き場所ごとの表を作ります。
| 置き場所 | よくある機器 | つなぎ方の例 |
|---|---|---|
| レジカウンター | POS レジ、決済端末、レシートプリンター | 有線を基本にする |
| 厨房 | キッチンプリンター、オーダー用の端末 | プリンターは有線を検討する |
| 天井 | Wi-Fi のアクセスポイント、防犯カメラ | 有線(PoE で電気も送れる場合がある) |
| バックヤード | ルーター、スイッチ、録画機、電話の機器 | 機器をまとめて置く場所にする |
| 客席 | お客様用 Wi-Fi、デジタルサイネージ | 業務用とは分ける |
ここで数えた台数に少し余裕を足して、差し込み口の数を決めます。開店後に機器が増えることは多く、あとから壁や天井に配線を足す工事は、最初にまとめて通すより手間がかかります(推測を含む一般的な傾向)。
有線にしたい機器と、Wi-Fi でよい機器
すべてを Wi-Fi にすれば配線は少なくて済みますが、店舗では止まると営業に響く機器があります。
- 有線を基本にしたい:POS レジ、キッチンプリンター、録画機、Wi-Fi のアクセスポイント、防犯カメラ(PoE の場合)
- Wi-Fi でもよいことが多い:持ち歩くオーダー端末、スタッフのタブレット、お客様用の Wi-Fi
厨房は、電子レンジや金属の調理器具、壁の多さで Wi-Fi が不安定になりやすい場所です。2.4GHz 帯は電子レンジなどと電波がぶつかりやすいとされています(バッファローの案内)。プリンターを Wi-Fi でつなぐ場合も、届き方を開店前に確かめてください。

配線の経路と、機器の置き場所を決める
ルーターとスイッチの置き場所
ルーター・スイッチ・録画機などは、1 か所にまとめて置くと、点検やトラブルのときに探しやすくなります。熱がこもらない、水がかからない、お客様の手が届かない場所を選びます。電源のコンセントの数と、停電への備え(無停電電源装置)も、この場所で考えます。
各機器までの経路
ケーブルを通す経路は、天井裏・壁の中・床の配線の溝・モール(壁に沿わせるカバー)などから選びます。テナントのビルでは、天井裏や壁の中を使えるか、管理会社の許可が要るかを先に確かめます。厨房は、熱・油・水の近くを避けて通します。
配線口と電源の位置
レジカウンターや厨房の差し込み口は、機器を置く位置のすぐ近くに付けます。遠いと、床をはうケーブルに足が引っかかって抜けるもとになります。LAN の差し込み口のそばに、機器の電源のコンセントがあるかも一緒に確かめます。
業務用とお客様用を分ける
お客様用の Wi-Fi と、レジ・決済端末・カメラなど業務用の機器は、ネットワークを分けるのが基本です。分け方は「店舗の Wi-Fi をお客様用と業務用に分ける方法」で説明しています。配線の段階で、どの差し込み口がどちらのネットワークかを決めておくと、あとの設定が分かりやすくなります。

工事会社の視点で:開店前に確かめること
配線が終わったら、開店前に次を確かめます。
- すべての差し込み口が通信できるか(ケーブルの両端の名札と、配線の図が合っているか)
- レジ・決済端末・プリンターが、実際の置き場所でつながるか(テストの会計とテスト印刷)
- 防犯カメラが録画され、スマホで見られるか
- Wi-Fi が客席・厨房・バックヤードで届くか
- 回線が止まったときに、誰に連絡するか(回線の会社・ルーターの管理者・レジの会社の連絡先を一枚にまとめる)
居抜きの店舗で前の店の配線を使う場合は、ケーブルがどこにつながっているか分からないことがあります。使う前に、配線を一本ずつ確かめるか、引き直すかを決めてください。回線の申し込みから開通までの流れは「開業する店舗のインターネット」にまとめています。
よくある質問
Q. LAN ケーブルの種類はどれを選べばいいですか?
ケーブルにはカテゴリー(Cat5e・Cat6・Cat6A など)があり、対応する速さが違います。回線やスイッチの速さ、配線の長さ、これから機器を入れ替える予定に合わせて選びます。壁や天井の中に通すケーブルは替えにくいため、少し余裕のあるものを選ぶことが多いです。
Q. 後から差し込み口を増やせますか?
スイッチを足せば口の数は増やせます。ただし、離れた場所に新しく配線を通すには、天井や壁の工事が必要になる場合があります。最初の工事で、空いている配管や予備のケーブルを通しておく方法もあります。
Q. レジの入れ替えのときにも配線を見直したほうがいいですか?
入れ替えは配線を見直すよい機会です。確かめることは「POS レジの入れ替えで確かめること」で説明しています。
まとめ
- 店舗の LAN 配線は、つなぐ機器を置き場所ごとに数えてから範囲を決める
- レジ・キッチンプリンター・録画機・Wi-Fi の機器は有線を基本に、業務用とお客様用は分ける
- ケーブルに名札を付け、配線の図を残し、開店前に置き場所ごとの通信を確かめる
出典と調査の方法
店舗のネットワークと機器の安全な使い方、Wi-Fi の周波数帯の違いは、次の公式サイトで確かめました(2026 年 10 月 26 日確認)。
- 総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト:職場での対策」
- 総務省「無線 LAN(Wi-Fi)の安全な利用(セキュリティ確保)について」
- バッファロー「Wi-Fi ルーターの周波数帯(6GHz 帯/2.4GHz 帯/5GHz 帯)の違いについて」
機器の数え方、配線の経路、開店前の確認は、当社のネットワーク工事の経験から一般的な注意点としてまとめたもので、特定の案件の記録ではありません。ビルの工事のルールや機器ごとの接続の方法は、管理会社や機器の会社の案内でご確認ください。
