ルーターが乗っ取られていないか確かめる方法。店舗・事務所で今日できる 6 つの設定と、通信の不調との見分け方

ルーターは、お店や事務所のインターネットの入口です。乗っ取られると、知らないうちに攻撃の中継に使われることがあります。IPA(情報処理推進機構)は 2025 年 10 月、ルーターなどが乗っ取られて攻撃の中継に使われる例について注意を呼びかけました(IPA の注意喚起)。
- 今日できる設定:初期のパスワードを変える、ファームウェアを最新にする(自動更新をオン)、外から管理画面に入れる設定を切る、使わない機能(UPnP・ポートの開放・遠隔の管理)を切る、サポートの終わった機器を替える、定期的に再起動する
- 乗っ取りを疑う合図:設定が勝手に変わっている、知らない通信がある
- ただの不調との違い:遅い・切れるだけなら、回線や Wi-Fi の原因のほうが多い
この記事では、店舗や事務所のルーターで確かめることと設定を、ネットワーク工事の会社の立場から、守るための対策に絞ってまとめます。
(見出しの下の画像は生成したイメージです。実際の事務所や当社の施工の写真ではありません。)
この記事で分かること
- ルーターの乗っ取りが何を起こすか
- 店舗・事務所で今日できる 6 つの設定
- 乗っ取りを疑う合図と、ただの通信の不調との見分け方
ルーターの乗っ取りで起きること
IPA の注意喚起では、ルーターなどの機器が乗っ取られ、他への攻撃の中継に使われる例が説明されています。利用者は気づかないまま、自分の回線が悪用されることがあります。
原因として多いのは、初期のままのパスワード、古いファームウェア(機器を動かすソフト)、外から入れる設定が開いたまま、サポートの終わった機器を使い続けていることです。
今日できる 6 つの設定
IPA の注意喚起で挙げられている対策を、店舗や事務所で手をつけやすい順に並べました。
| 設定 | やること | 確かめる場所 |
|---|---|---|
| 1. 管理のパスワード | 初期のパスワードを、長く推測されにくいものに変える | ルーターの管理画面 |
| 2. ファームウェア | 最新にする。自動更新があればオンにする | 管理画面の更新の項目 |
| 3. 外からの管理画面 | インターネット側から管理画面に入れる設定を切る | 管理画面のセキュリティ・遠隔の設定 |
| 4. 使わない機能 | UPnP・ポートの開放・遠隔の管理など、使っていないものを切る | 管理画面の詳細の設定 |
| 5. サポートの終わった機器 | メーカーの更新が終わった機器は替える | メーカーのサポート情報 |
| 6. 定期的な再起動 | 決まった時期に再起動する | 電源・管理画面 |
ポートの開放や UPnP を切る前に、防犯カメラの遠隔の視聴や、レジ・決済端末などがその設定を使っていないかを確かめてください。切ると、機器によっては外から見られなくなることがあります。どの機器が何を使っているか分からない場合は、機器の会社や工事会社に相談してから変えると安全です。

乗っ取りを疑う合図
- 管理画面のパスワードや設定が、自分たちが変えていないのに変わっている
- 見覚えのないポートの開放や、遠隔の管理がオンになっている
- 誰も使っていない時間に、通信のランプが激しく点滅し続ける、通信量が急に増えた
- 契約している回線の会社から、不審な通信についての連絡が来た
こうした合図がある場合は、ルーターの初期化と設定のし直し、ファームウェアの更新、パスワードの変更を行います。判断に迷うときは、IPA の情報セキュリティ安心相談窓口などの公的な窓口に相談してください。
ただの通信の不調との見分け方
「遅い」「時々切れる」だけなら、乗っ取りより回線・Wi-Fi・機器の熱や故障が原因のことのほうが多いです(推測を含む一般的な傾向)。
| 様子 | 考えやすい原因 |
|---|---|
| 夜だけ遅い | 回線の混み合い、接続方式 |
| 特定の部屋だけ遅い・切れる | Wi-Fi の届き方 |
| 全部の機器が同時に切れる | ルーター・回線の機器の不調、停電、回線の工事や障害 |
| 設定が勝手に変わっている | 乗っ取りを疑う |
遅さの原因の確かめ方は「オフィスの Wi-Fi が遅い原因と対策」で説明しています。
工事会社の視点で:店舗・事務所で決めておくこと
- ルーターの管理者を決める:誰が設定とパスワードを管理しているか。前の業者や辞めた人しか知らない状態をなくす
- 機器の一覧を作る:ルーター・スイッチ・Wi-Fi の機器・防犯カメラの録画機の型番と、買った時期
- お客様用の Wi-Fi と業務用を分ける:分け方は「店舗の Wi-Fi をお客様用と業務用に分ける方法」
- 配線に名札を付ける:どの機器がどこにつながっているか分かるようにする
総務省の「国民のためのサイバーセキュリティサイト」にも、職場での対策がまとめられています。
よくある質問
Q. 回線の会社から借りたルーターも設定が要りますか?
借りたルーターでも、管理のパスワードや更新の設定は確かめてください。更新を自動で行う機種もあります。設定の方法は貸し出した会社の案内で確かめてください。
Q. ルーターを初期化すると何が消えますか?
Wi-Fi の名前とパスワード、プロバイダーの接続の設定、ポートの開放などが消えます。初期化の前に、今の設定を控えておいてください。
Q. どれくらいの頻度で確かめればいいですか?
ファームウェアの更新と設定の確認は、少なくとも年に数回、機器を入れ替えたときや業者が作業したあとにも確かめると安心です(推測を含む目安)。
まとめ
- ルーターの乗っ取りは、初期のパスワード・古いファームウェア・開いたままの入口・サポートの終わった機器から起きやすい
- 今日できるのは、パスワードの変更・更新・外からの入口を閉じる・使わない機能を切る・古い機器を替える・再起動
- 設定が勝手に変わっているなら乗っ取りを疑い、遅いだけなら回線や Wi-Fi から確かめる
出典と調査の方法
ルーターの乗っ取りの例と対策は、次の公式サイトで確かめました(2026 年 10 月 26 日確認)。
- IPA「家庭用ルータ・IoTルータ等、ネットワーク境界のORB(Operational Relay Box)化のおそれについて」(2025 年 10 月 31 日)
- IPA「情報セキュリティに関する技術的なご相談」(情報セキュリティ安心相談窓口)
- 総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト:職場での対策」
- NOTICE「みんなで守る、IoT。」(総務省・情報通信研究機構)
設定の項目の名前や場所は機種ごとに違います。お使いのルーターの説明書とメーカーのサポート情報でご確認ください。この記事は守るための対策をまとめたもので、すべての攻撃を防げることを約束するものではありません。
