AI活用

社員向けの AI 研修は何を教えるか。中小企業が最初に入れたい内容と、役割ごとの分け方・進め方

 株式会社オーグマー

明るい会議室の机に並んだノートパソコンとノート、前の壁に映した業務の流れ図

社員向けの AI 研修は、操作の説明より先に「使ってよい範囲」と「答えの確かめ方」を全員に教え、そのあと役割ごとに実際の仕事で練習する順番が、中小企業には合っていると考えます(推測:当社の考え方で、効果を比べた調査ではありません)。

  • 全員に共通:入れてはいけない情報、答えをそのまま使わないこと、困ったときの相談先
  • 役割ごと:営業・事務・現場など、それぞれの仕事の中から 1 つずつ題材を選んで練習する
  • 研修のあと:使った例を社内で共有し、決まりを見直す

研修を 1 回やって終わりにすると、「使ってよいのか分からない」「何に使えばよいか分からない」となり、使われなくなりがちです。この記事では、研修の中身と進め方をまとめます。

(見出しの下の画像は生成したイメージです。実際の企業や当社の研修の写真ではありません。)

この記事で分かること

  • 社員向けの AI 研修で、全員に教えたいこと
  • 役割ごとの練習の分け方
  • 実際の仕事を使った演習の作り方
  • 研修のあとに使い続けてもらう進め方

研修の前に決めておくこと

研修で「何を教えるか」は、会社としての決まりが無いと決められません。研修の前に、次の点を決めておきます。

決めること例
使ってよい AI のサービス会社で契約したサービスだけ、など
使ってよい仕事の範囲文章の下書き、要約、表の整理など
入れてはいけない情報お客様の個人情報、取引先の秘密、社外に出していない数字など
人が確かめる所社外に出す文書、お客様への回答、数字の入った資料は必ず人が確かめる
困ったときの相談先社内の担当者、または外部の相談先

AI の導入の始め方は「中小企業の AI 導入は何から始めるか」で説明しています。研修は、この決まりを社員に伝え、実際に使えるようにする場と考えると、中身を組み立てやすくなります。

全員に共通して教えたいこと

1. 入れてはいけない情報

生成 AI のサービスに入力した内容が、サービスの提供者の側でどう扱われるかは、サービスや契約の条件によって違います。個人情報保護委員会は、個人情報を含む内容を入力する場合の注意を公表しています(出典:個人情報保護委員会「生成 AI サービスの利用に関する注意喚起等について」)。

研修では、会社の決まりとして、入れてはいけない情報を具体的な例で示します。

  • お客様の名前・連絡先・住所が入った文章
  • 取引先から預かった資料、契約の中身
  • 社外に出していない売上や価格の数字
  • パスワード、社内のシステムのログインの情報

「迷ったら入れない、担当者に聞く」という決まりも、あわせて伝えます。

2. 答えをそのまま使わない

生成 AI は、もっともらしいが間違った答えを返すことがあります。研修では、次の確かめ方を練習します。

  • 数字・日付・固有名詞は、元の資料や公式のサイトで確かめる
  • 法律・税金・契約に関わる内容は、専門家や公式の情報で確かめる
  • 社外に出す文書は、人が読み直してから出す

3. アカウントとパスワードの管理

会社で契約したサービスのアカウントを共有しない、パスワードを使い回さない、といった基本も教えます(出典:総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト:職場での対策」)。

役割ごとの練習の分け方

全員に同じ例を教えるより、自分の仕事の例で練習したほうが、研修のあとに使われやすいと考えます(推測)。

役割練習の題材の例
営業お客様への案内の文章の下書き、提案の要点の整理(お客様の名前などは入れずに)
事務・経理社内向けの案内文、手順書の下書き、表の整理の手伝い
現場・技術作業の報告の文章の整理、点検の手順の書き出し
管理職会議の要点の整理、部下への説明の資料の下書き
ノートパソコンのキーボードに置いた手元と、丸や矢印の図を描いたノートで使い方を練習している様子

題材は、実際の仕事から、社外の情報を含まないものを選びます。練習の例を作るときは、名前や数字を架空のものに置き換えます。

実際の仕事を使った演習の作り方

演習は、次の流れで作ると、研修の時間の中で「使えた」と感じてもらいやすくなります。

  1. ふだん時間がかかっている作業を、参加者に 1 つずつ挙げてもらう
  2. その作業のうち、AI に任せられる部分(下書き・要約・整理)と、人が判断する部分を分ける
  3. AI に頼む文(指示)を書き、結果を見る
  4. 結果の間違いや足りない所を探し、指示を直して、もう一度試す
  5. 使えた指示の文を、社内で共有できる形にして残す
仕事の書類の束と付箋、表とグラフが映ったノートパソコンが並ぶ机の様子

4 の「間違いを探す」を必ず入れることで、答えをそのまま使わない習慣が身につきやすくなります。

研修のあとに使い続けてもらう進め方

  • 使った例を集める:うまくいった指示の文や、使ってはいけなかった例を、社内で共有する場所を作る
  • 決まりを見直す:使ってみて分かった迷いやすい点を、会社の決まりに足していく
  • 相談先をはっきりさせる:「これは入れてよいか」を気軽に聞ける担当者を決める
  • 少し時間をおいて、もう一度集まる:使えた例と困った例を持ち寄り、次の練習の題材にする

国の「AI 事業者ガイドライン」では、AI を業務に使う事業者(AI 利用者)にも、適切な使い方を心がけることが求められています(出典:総務省「AI 事業者ガイドライン」)。研修は、その考え方を社内で形にする一つの方法です。

よくある質問

研修は外部に頼んだほうがよいですか

社内に AI に詳しい人がいれば、社内で始めることもできます。ただし、会社の決まり(使ってよい範囲、入れてはいけない情報)づくりと、役割ごとの題材づくりには手間がかかるため、最初だけ外部の支援を使い、その後は社内で続ける方法もあります。

どのくらいの時間の研修が必要ですか

会社の規模や、すでに AI を使っている人の数によって違うため、一律には言えません。全員に共通の内容と、役割ごとの練習を分けて、短い回を何度か行うほうが、一度に長く行うより定着しやすいと考えます(推測)。

個人のアカウントで使ってもよいと伝えてよいですか

個人向けのサービスは、入力した内容の扱いや管理の機能が、会社向けの契約と違うことがあります。会社の仕事で使うサービスと、その条件は、研修の前に会社として決めておいてください。

AI に詳しくない社員でも参加できますか

参加できます。操作の説明より先に、「使ってよい範囲」と「確かめ方」を教え、自分の仕事の題材で練習する形にすると、初めての人でも取り組みやすくなります。

まとめ

  • 研修の前に、使ってよいサービス・範囲・入れてはいけない情報を会社として決める
  • 全員に、入れてはいけない情報と答えの確かめ方を教える
  • 役割ごとに、自分の仕事の題材で練習する。演習には「間違いを探す」を入れる
  • 研修のあとは、使った例の共有と決まりの見直しを続ける

出典と調査の方法

生成 AI の利用の注意と、AI を使う事業者の考え方は、次の公式サイトで確かめました(2026 年 10 月 5 日確認)。

研修の中身の組み立て、役割ごとの題材の例、演習の流れは、当社の業務の仕組みづくりの考え方から一般的な進め方としてまとめたもので、推測を含みます。特定の研修の記録や効果の調査ではありません。使えるサービスと利用の条件は、提供する会社によって違います。